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一足先に認知症になった当事者の方々から受け取ったバトン
2025年08月25日
2024年1月1日、「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」(認知症基本法)が施行されました。その成立過程では、多くの認知症ご本人の方が、さまざまな働きかけを行いました。その1つが、日本認知症本人ワーキンググループ(JDWG)が出した「認知症とともに生きる希望宣言」です。
【認知症とともに生きる希望宣言】
一足先に認知症になった私たちからすべての人たちへ
- 自分自身がとらわれている常識の殻を破り、前を向いて生きていきます。
- 自分の力を活かして、大切にしたい暮らしを続け、社会の一員として、楽しみながらチャレンジしていきます。
- 私たち本人同士が、出会い、つながり、生きる力をわき立たせ、元気に暮らしていきます。
- 自分の思いや希望を伝えながら、味方になってくれる人たちを、身近なまちで見つけ、一緒に歩んでいきます。
- 認知症とともに生きている体験や工夫を活かし、暮らしやすいわがまちを、一緒につくっていきます。
上記宣言は、JDWGの元代表理事である藤田和子さんの新刊『認知症になってからも自分らしく! 本人の声がひらく新しい認知症観の時代へ』からの抜粋です。本書は、前回(8月18日)の当欄でご紹介した全国マイケアプラン・ネットワークの代表である島村八重子さんとの対談形式でまとめられています。
認知症基本法をもとに政府が示した基本計画では「新しい認知症観」が最重要視されていますが、これが計画に盛り込まれる過程においても、藤田さんをはじめとする当事者の方々が参画しました。
新しい認知症観とは、「認知症になってからも、一人ひとりが個人として、できること、やりたいことがあり、住み慣れた地域で仲間などとつながりながら、希望をもって自分らしく暮らし続けることができる」というものです。
本書には、認知症と診断された時の周囲の人への伝え方や社会とのつながり方、認知症になっても暮らし続けられる地域のつくり方など、大切なヒントが詰まっています。認知症の先輩たちが切り拓いてきてくれたからこそ「今」があります。しっかりとそのバトンを受け取って実践し、「新しい認知症観」を深化させて次世代につなげたいと思いました。